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選評 出版関係物故者 放送関係物故者
与志田選2024年総括。ノミネートに入れていない作品から一言。『光る君へ』−登場人物の多くが"藤原"なのは仕方ないとしても、とにかく誰が誰だか毎週見ながらも関係性がわからず仕舞い。50年余の年月を描きながらその経過も伝わってこない。感情移入できる登場人物がまったくいない。よって、この先どうなるんだろうという連続ドラマとしてのワクワク感もない。『ブラック・ジャック』−実写版として高橋一生によるブラック・ジャックはなかなかに適役。『怪獣8号』−主人公の成長、それに伴う敵の強力化、ライバルの存在、等々、舞台は異なりながらも、物語の骨格が『鬼滅の刃』と同じ、二番煎じじゃないかとちょっとしらけた。( 25/01/28 ) <図書部門> 『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(小酒井不木・筑摩書房刊) 乱歩ファンとして小酒井不木の名前は知っていたものの、このほど初めて読みました。文体も描写もまったく古さを感じさせず、驚きです。何しろ文章が読みやすい。100年前に書かれたものとは思えません。医学知識を下敷きにした物語は手塚治虫に影響を与えたことで知られますが、同じ医療ものとしてグロテスクさが際立つ久坂部羊の初期作品あたりもその影響下にあるのではと思いました。不木短編が持つ無駄のないキレのよさとシニカルさは『ブラック・ジャック』の元ネタのようでもあります。 『怪奇探偵小説傑作選5 海野十三集 三人の双生児』(海野十三・筑摩書房刊) 海野十三も乱歩や不木と同時代の作家で、初めて読みました。こちらも非常に読みやすかったです。SFの人、それもジュブナイルの人と思っていたら、乱歩もしのぐエログロのトンデモ探偵小説を書いていたことにびっくり。グロな内容でありながらあっけらかんとした性格の登場人物が配されることで、そこまで後味が悪くないのも妙味です。その極みが「俘囚」だったり「生きている腸」でしょう。海野の科学的思考に基づく短編などは、円谷特撮『怪奇大作戦』あたりにもきっと影響を与えているだろうと想像されます。 <映像部門> 『ゲゲゲの女房』(23/12/11〜 6/17・BS12) 過去に総集編を見ただけで本編はきちんと見ていなかったので、再放送を機に全編を通してじっくり見ました。苦労の前半生がやがて実を結ぶというまさに朝ドラの王道のような内容に好感が持て、とても安心してみることができました。主人公が美男美女過ぎるとしらけるのですが、ここではその爽やかさが奏して逆によかったのではないかと思います。 『母の待つ里』( 9/21〜 9/28・NHK BS) ハートフルな内容なのですが、設定が意表を突いてます。ちょうどこの後『海に眠るダイヤモンド』の放送が始まり、宮本信子のおばあさん役のイメージがダブってしまって…。 『3000万』(10/ 5〜11/23・NHK総合) どうしてそっちへ行っちゃうかなーと主人公の行動を見ていてハラハラ。ダメ亭主のほうがむしろ思考がまともで、しっかり者であるはずの妻とのでこぼこ加減が面白さを引き出しました。一話完結でなく、しかも原作のない連続ドラマでありながら、複数の脚本家がひとつの物語をうまくつなげたなと感心します。
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