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選評  出版関係物故者  放送関係物故者

対象作品は発表された年ではなく、サイト主宰者が実際に目にした年のものとしています。



部門ノミネート作品ベスト作品
図書部門 小説の部 「六月の桜 伊集院大介のレクイエム」 該当作なし
漫画の部 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」「地を這う魚 ひでおの青春日記」 該当作なし
映像部門 映画の部 「レッドクリフ PartI」「おくりびと」「ザ・マジックアワー」「僕の彼女はサイボーグ」 該当作なし
テレビドラマの部 「ありふれた奇跡」「警官の血」「白洲次郎」「黒部の太陽」「白い春」「刑事一代」「新・三銃士」「不毛地帯」 「新・三銃士」
アニメーションの部 「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」 該当作なし

2009年選評

与志田選2009年総括。あらためてお伝えしておきますと、この選考は良くも悪くも主宰者の印象に残ったタイトルをピックアップしてます。いくら世間の評判が高くても、主宰者の目にしていないものはあがってきません。なお、今期から目にしたテレビ番組は主宰者のブログにすべて記録しています。興味があれば(たぶんないと思うけど…)そちらも照らし合わせてご覧ください。( 10/01/31 )

<図書部門>
『六月の桜 伊集院大介のレクイエム』(栗本薫・講談社刊)
悲しいほどに救いのない話。栗本薫って、たまにこういうの書きますね。その栗本薫もすでに亡くなられてしまったとは。まだまだ書き続けてほしかったです。そんなことを昨年ここに書いたばかりなのに…。合掌。
『地を這う魚 ひでおの青春日記』(吾妻ひでお・角川書店刊)
またまた出ました日記シリーズ。作品としてはシュールなんだけど、盛り込まれたエピソードは妙にリアルだったりします。一時は自分も同じ世界にいたこともあって、それがよーくわかります。

<映像部門>
『ザ・マジックアワー』(10/ 3・フジテレビ系)
―2008年フジテレビほか 佐藤浩市 三谷幸喜監督
「自分にとってもっとも納得のいく作品」と監督自ら言っていたけど、その内容は市川森一の『淋しいのはお前だけじゃない』と自身の『合い言葉は勇気』を足したような内容。しかも終始ドタバタ。ちょっとがっかりです。
『僕の彼女はサイボーグ』(10/ 1/ 3・TBSテレビ系)
―2008年"僕の彼女はサイボーグ"フィルムパートナーズ 綾瀬はるか クァク・ジェヨン監督
綾瀬はるかが可愛いすぎる。綾波レイもどきのコスチュームがフェティッシュで、おじさんキラーの姿態を見せつけてくれました。『ターミネーター』をパロった描写も本格的でグー。「なにコレ!」と、パンチの効いた映画です。
『ありふれた奇跡』( 1/ 8〜 3/19・フジテレビ系)
山田太一が手がける12年ぶりの連続ドラマ。正直、面白いとは言えません。古くからの山田ファンにしてみれば、愛も変わらず同じことをやっているなと。独特の台詞回しも今は鼻につくだけ。いささかうんざりです。
『白洲次郎』( 2/28〜 9/23・NHK総合)
雰囲気だけでドラマがありません。あれじゃあ、白洲次郎って結局何をした人なのかよくわからない。2話と3話の放送が開きすぎたのもマイナス。伊勢谷友介は好演していたようだけど…。
『白い春』( 4/14〜 6/23・フジテレビ系)
擬似親子ものというドラマとしてはありがちな設定なんだけど、今期一番に泣かせるドラマでした。シチュエーションが細かいというか、登場人物の感情の持っていき方が丁寧で好感を持ちました。とりわけ子役の大橋のぞみが可愛くて、あんな子供が自分の娘だったら阿部さんや遠藤さん同様、世のお父さんたちももっと一生懸命になれるでしょと皮肉ってみたり。
ともかくも、大橋のぞみといい、加藤清史郎といい、この一年は大人顔負けのこの二人に支えられていたようなものです。二人とも、あれよあれよという間に、CM、ドラマ、バラエティに引っ張りだこの人気者となってしまって…。
『新・三銃士』(10/12〜放送中・NHK教育)
制作者側の企図するように往年の人形劇『新・八犬伝』をほうふつとさせる熱のこもった作品。三谷さんは大上段に構えないほうがいいですね。こうした細かい職人的な作業のほうが、氏本来の持ち味が発揮されるような気がします。一週間にたった20分の放送は大いにじらせてくれます。毎回、続きが待ち遠しい。ところで、今ふと思ったのだけど、肝心の子供はこれ見てるのかしら?
『不毛地帯』(10/15〜放送中・フジテレビ系)
6年前の『白い巨塔』の成功がここに活かされてます。『白い巨塔』同様、生々しい人間模様が展開される山崎豊子の小説を見事に映像化。骨太のドラマにぐいぐいと引き込まれます。


2009年出版関係物故者

作家の泡坂妻夫(あわさか・つまお)氏が 2月 3日、急性大動脈解離のため死去。75歳だった。( 2/ 5 読売新聞朝刊より)
東京都出身。紋章上絵師の家業を継ぐ傍ら、趣味で多くの創作奇術を発表。1976年、名探偵・亜愛一郎の登場する「DL2号機事件」(幻影城新人賞佳作)を発表し作家活動を始めた。奇術がテーマの「11枚のトランプ」や日本推理作家協会賞の「乱れからくり」、夢幻的なサスペンス「湖底のまつり」などで評価を受けた。
90年には職人の世界を描いた「蔭桔梗」で直木賞を受賞した。

アメリカのSF作家、フィリップ・ホセ・ファーマー氏が 2月25日死去。91歳だった。( 2/27 読売新聞夕刊より)
1918年、米インディアナ州生まれ。52年に最初に出版された作品「恋人たち」で注目を集め、生涯で75作以上の小説を書いた。60、70年代の最も著名なSF作家の一人として知られている。

イギリスのSF作家、J・G・バラード氏が 4月19日死去。78歳だった。( 4/20 読売新聞夕刊より)
代表作に「沈んだ世界」「結晶世界」、短編集「戦争熱」など。第二次世界大戦当時、上海を占領した日本軍の捕虜収容所に収容され、その体験をもとに「太陽の帝国」を発表。同作品は、スピルバーグ監督により映画化された。

漫画家のやまだ紫(やまだ・むらさき)さんが 5月 5日、脳内出血のため死去。60歳だった。( 5/ 8 読売新聞朝刊より)
1969年にデビュー。独特のタッチで心の深えんを描き、雑誌「COM」「ガロ」などで活躍した。代表作に「性悪猫」「しんきらり」など。2006年から京都精華大学マンガ学部教授を務めた。

切り絵作家で版画家の滝平二郎(たきだいら・じろう)氏が 5月16日、がんのため死去。88歳だった。( 5/19 読売新聞夕刊より)
茨城県出身。太平洋戦争から復員後、本格的な創作活動に。児童文学者の斎藤隆介氏とともに出版した絵本「ベロ出しチョンマ」(1967年)で切り絵による挿絵を担当して脚光を浴び、その後も斎藤氏とのコンビで「モチモチの木」など名作を生み出した。70年から78年にかけては、朝日新聞日曜版に独自のきり絵を掲載して好評を博している。
70年に「花さき山」で講談社出版文化賞、74年にモービル児童文化賞を受賞。

大河SF小説「グイン・サーガ」のほか、ミステリー、文芸評論など多彩な活躍で知られた作家の栗本薫(くりもと・かおる)さんが 5月26日、膵臓がんのため死去。56歳だった。( 5/27 読売新聞夕刊より)
東京都出身。早稲田大卒業後に作家活動に入り、1978年、青春ミステリー「ぼくらの時代」で江戸川乱歩賞を受賞。81年、「絃の聖域」で吉川英治文学新人賞を受賞した。
また、中島梓の筆名で評論家としても活躍、純文学から漫画まで批評する一方、舞台演出、テレビドラマ脚本なども手がけ、テレビ出演もするなどマルチ作家として活動した。
剣と魔法の支配する異世界で、豹頭の戦士が活躍する「グイン・サーガ」は、79年にスタートし、2005年に正編だけで100巻を突破、最新刊は126巻。一人の作家による小説としては世界最長と言われる。
2007年にがんが見つかり、抗がん剤治療中だった。

漫画家の臼井儀人(うすい・よしと)氏が 9月20日、群馬県下仁田町の荒船山で転落死。51歳だった。( 9/21 読売新聞朝刊より)
静岡県出身。広告会社勤務などを経て、1987年「だらくやストア物語」を「週刊漫画アクション」に発表しデビュー。
90年に同誌で連載を開始した「クレヨンしんちゃん」は、埼玉県春日部市に住む、おませな5歳児、野原しんのすけ(しんちゃん)が家族や幼稚園の先生たちの間に騒動を巻き起こす、ギャグ漫画。
92年からはテレビ朝日系でアニメ版の放送がスタートし、人気が沸騰、海外でも世界30か国以上で放映された。劇場用映画も93年から毎年製作され、2002年には、文化庁メディア芸術祭賞大賞を受賞。単行本は49巻で総発行部数約5000万部に達している。
アニメ版の人気で、しんちゃんのギャグをまねる子どもが増え、親が選ぶ「子どもに見せたくない番組」の上位に選ばれるなど物議を醸す一方、幼児の本音を表す国民的漫画として評価されてきた。


2009年放送関係物故者

声優の市川治(いちかわ・おさむ)氏が 1月 2日、心不全のため死去。72歳だった。( 1/ 8 読売新聞朝刊より)
テレビアニメ初期から「スーパージェッター」のジェッター役などで活躍。「超電磁マシーン ボルテスX」の敵役プリンス・ハイネルなどの声を担当した。

アニメーション監督の鳥海永行(とりうみ・ひさゆき)氏が 1月23日死去。67歳だった。( 1/25 読売新聞朝刊より)
「科学忍者隊ガッチャマン」「ニルスのふしぎな旅」「しましまとらのしまじろう」など多くのテレビアニメを手がけた。

歌手の忌野清志郎(いまわの・きよしろう)氏が 5月 2日、がん性リンパ管症のため死去。58歳だった。( 5/ 3 読売新聞朝刊より)
高校在学中の1968年に「RCサクセション」を結成、70年には「宝くじは買わない」でデビューした。フォークやブルース、ロックなど様々なジャンルの音楽を融合させた独自のスタイルが評価され、「ぼくの好きな先生」「雨あがりの夜空に」などの代表曲を生んだ。その後、「RC」の活動を休止し、以降、ソロやバンドを率いての活動を行い、CMにも使われた「パパの歌」などをヒットさせた。
派手ないでたちと絞り出すような歌声で知られ、「愛しあってるかい」など独特のセンスのフレーズを生み出した。また反戦や反原発を歌った曲を収録したアルバムが、大手レコード会社によって発売中止になったこともあった。

音楽プロデューサーの加藤和彦(かとう・かずひこ)氏が10月17日、長野県軽井沢町のホテルで自殺。62歳だった。(10/18 読売新聞朝刊より)
京都府出身。1965年に「ザ・フォーク・クルセダーズ」を結成、67年に発表した「帰って来たヨッパライ」で一世をふうびした。朝鮮半島分断の悲劇をテーマにした「イムジン河」は発売中止になった。
グループ解散後、作曲家としても活躍。北山修さんとのコンビで71年に発表した「あの素晴しい愛をもう一度」は、現在まで合唱曲としても親しまれている。また、ロックバンド「サディスティック・ミカ・バンド」を結成し、73年に初アルバムを発表。海外でも公演し、日本のバンドが世界進出する先駆けとなった。
妻だった作詞家の安井かずみさんとのコンビで作った楽曲も多く、市川猿之助さんのスーパー歌舞伎の音楽も手がけるなど多彩な活動で知られた。